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嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」

第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち

第3節 田んぼ、池沼の動物

コラムCOLUMN

鳥の渡りと昆虫の季節移動

 動物の中には、季節によって長距離を集団移動する種がいることが鳥や魚、昆虫などで知られています。ここでは、その代表的なものをいくつか紹介しましょう。

鳥の渡り

 鳥類にはスズメやカラスのように一つの地域で一年中姿が見られるものと、ハクチョウやツバメなどのようにある季節だけ姿が見られるものがいます。季節によって姿を消す鳥がいることは、日本でもヨーロッパでもかなり昔から知られていたようですが、その原因は長年わからないままでした。それが17世紀頃になると、ヨーロッパの人々の間で"姿を消した鳥は何処に行ったのだろうか?"ということに関心が高まり「月に移動する」とか、「地中にもぐって冬眠する」のだとか、あるいは「遠くの他の土地に移動する」などいろいろな説が出され、議論されるようになりました。しかし科学的な研究が始まったのは19世紀の末ごろからで、わずかに100年ほど前からに過ぎません。でもこの約100年の間に、世界各国で多くの研究者によりいろいろなことが研究され、多くのことがわかってきました。その結果「鳥の渡り」とは現在次のように考えられるようになりました。「繁殖地と越冬地が海をへだてて遠く離れている鳥が、その二地点間を定期的、周期的に移動する行動を"鳥の渡り"といい、渡りをする鳥を"渡り鳥"という。」
鳥の渡りの図

多くの国々で渡り鳥をさらに夏鳥、冬鳥、旅鳥に分けています。日本を例にして説明すると次のようです。

日本の渡り鳥の例

説明図

アサギマダラの写真
アサギマダラ

ウラナミシジミの写真
ウラナミシジミ

季節移動(昆虫など)

 昆虫などでは鳥の渡りとは異なり、単に季節の移り変わりによって移動するだけのものが知られています。例えばウラナミシジミなどのチョウ類は、秋が深まるにつれ日本列島をどんどん北上してゆき、最後には死に絶えます。嵐山町内ではたまに見られるアサギマダラというチョウも、実は西南日本で発生したものが北上してきたもので、嵐山町で発生しているわけではありません。こうした現象は、分布域の拡大に関与しているものと考えられますが、くわしいことは良くわかっていません。