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嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」

第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち

第1節:川の中の動物

1.大きい河川にすむ動物たち

二瀬の写真
都幾川と槻川の合流する「二瀬」。以前は足がつかないくらいとても深く、川底から冷たい水が湧き出していました。

 日差しの強い夏、清流のせせらぎで川遊びをする子供たち。川の中には、魚がたくさん泳いでいて、水に浸かった足の間をすばやく通り抜けてゆきます。
 水辺は生きものの宝庫です。この章ではまず、川の中やそのまわりにすむ動物たちについて、主なものを紹介します。

雑魚を釣る人の写真
雑魚を釣る人。都幾川や槻川では初夏から秋にかけて、オイカワやウグイ釣りの人でにぎわいます。
 
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  • オイカワの写真
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  • ウグイの写真
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都幾川のアユ

 アユは、スイカのような香りがすることで「香魚」と呼ばれ、清流を代表する魚です。昭和30年代頃までは都幾川をはじめ、埼玉県内の荒川水系には天然のアユがのぼってきました。食料が貧しかった時代には、貴重なタンパク源として重宝され、村をあげてアユ漁をおこなっていた地域もありました。ところが、水の汚れの影響や下流域につくられた取水堰によって、アユはさかのぼることが出来なくなり、一時期はとだえてしまいました。そのため琵琶湖産の稚アユや養殖されたアユが放流されたりもしましたが、最近では水質が良くなってきたために下流の堰までは再びのぼってきているようです。堰に魚道が整備されれば、また都幾川でもアユが見られるようになる日がくるかもしれません。

アユの写真
水生昆虫を食べながら川をさかのぼってきた稚アユは、石が多く瀬や淵がある場所まで来ると、石についた藻類を食べるようになります。このとき、より良い場所を確保するため「なわばり」をつくります。おとりアユを使用した「友釣り」は、このなわばりに入り込んだアユを追い出す性質を利用したものです。6月ともなると、アユは写真のように大きくりっぱに育っています。

昔のアユ漁の写真1昔のアユ漁の写真2
河原でアユの塩焼きの写真
1909(明治42)年の「菅谷村勢要覧」には、アユ50貫(1貫は3.75キログラム)の漁獲記録が残されています。魚の体重を約30グラム(全長は15センチメートル程度)で換算すると、なんと約6,000尾のアユが漁獲されたことになります。
当時の代表的なアユ漁は、河川の上流に網を張り、重りのついた地びき網で下流から上流に向かってアユを追い上げ網でせまくかこみ、投網でアユを一網打尽にするアユ地びき網(がらびき)漁法です。大人数でおこない、捕れたアユを河原で塩焼きなどにして食べることが夏の風物詩でした。このほかに、やす突きやころがし釣りなど多くの漁法でアユが漁獲されていました。

清流にすむ生き物たち

都幾川の写真都幾川は槻川と並びとても美しい清流です。各地で清流が失われつつある現在、この河川は嵐山町だけでなく、周辺地域の人たちにとっても貴重な宝です。  自然の河原ときれいな流れ、深い淵では水が青々としています。昔ながらの、大切にしたいふるさとの風景です。夏になると子供たちはここで泳いだり、雑魚釣りをしたりして遊びます。そんなとき石の下をのぞいてみると、ふだんは目にする事のない清流にすむ動物たちに出会えるでしょう。ここではそんな動物を紹介します。

水辺の動物を探す子どもたちの写真
きれいな流れの水辺にはどんな動物たちがいるのでしょう。みんなで石を起こして探しています。

サワガニの写真 サワガニは雑食性で大きさは2〜3センチメートル。よく歩き、河川から細流や湧水、さらに水辺から離れた湿り気のある場所にも現われます。体の色は赤・青・紫・褐色など変化に富み、地域によって色がちがいます。また、食用としても利用されていますが、寄生虫がいることがあるので生食はとても危険です。

 
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