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嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」

第5章:人家周辺の主な動物たち

第1節:庭の生きものの世界

1.庭の花に集まる虫たち

ツツジの花を訪れスクロアゲハの写真 クロアゲハがツツジの花を訪れています。アゲハチョウ類は庭にある花が大好きで、赤や黄色の花を好んで集まり、ハネを振るわせながら蜜を吸っています。庭にはクロアゲハやアゲハチョウ、オナガアゲハなどがよく見られ、もともと西日本に多かったモンキアゲハなども最近ではよく飛んできます。

 花であふれかえった庭をながめるのは気持ちの良いものです。でも、よく見てみると、そこにはたくさんの昆虫たちが飛び交っているのが目につきます。花はきれいな色や複雑な形をしていますが、これは昆虫などに受粉を手伝ってもらうためだと言われています。花の蜜を吸いに来る昆虫にはチョウやハチ、ハナアブ類などが見られ、中でもアゲハチョウの仲間は大きいので目立ちます。天気の良い日に庭を飛ぶ姿をよく目にします。ハチの仲間もしきりに花を訪れ、ミツバチやヒゲナガハナバチの仲間、オオヤニハナバチなどが見られます。また、花や新芽を食べるものもいます。たとえば菊の新芽につくキクスイカミキリや、各植物のつぼみや新芽が大好きなアブラムシの仲間などです。せっかくですから、庭の花を眺めながら、ついでに昆虫観察をしてみるのもいかがでしょう。

 
  • 空中ダンスをおどるアゲハチョウの写真
    アゲハチョウどうしが出会うと、このように空中ダンスをおどることがあります...全文
  • ヒゲナガハナバチの写真
    ムラサキダイコンの花を訪れるヒゲナガハナバチ。オスの触角が体に比...全文
  • ヒメアカタテハの写真 花だんに訪れているのはヒメアカタテハです。世界中に広く分布するチョウで、ヨーロッパの切手や絵はがきなどのデザインでよく見かけます。幼虫はヨモギやゴボウなどキク科の植物を好んで食べるようです。
  • しおれた菊の新芽の写真 菊の新芽がくにゃりとたれ下がっていたら、それはキクスイカミキリという甲虫のしわざです。産卵のため新芽に傷をつけ、こうしてしおれさせるのです。
  • キクスイカミキリの写真
    キクスイカミキリは野外ではヨモギなどのキク科植物についていますが、時には...全文
  • オオヤニハナバチの写真
    ブットレアの花にきたオオヤニハナバチ。ハキリバチ科の中では最も大きく...全文
  • アブが訪れる菊の花の写真 庭に咲いた菊の花にハナアブとオオハナアブが来ています。春のピラカンサや秋の菊などにはいろいろなハエ類が集まり、様々なハナアブ類やツマグロキンバエ、ヒロズキンバエなどのクロバエ類、ヒメフンバエやマルボシヒラタヤドリバエなどがよく見られます。
 
COLUMN
イエローパン・トラップ

イエローパン・トラップの写真
 黄色い皿に水を張って置いておくと、いろいろな虫が飛び込んできます。昆虫は色に惹かれる性質があり、このためみずから飛び込んでくるのです。もっとも多いのがハエの仲間、次によく見られるのがハチ類で、チョウや甲虫も入ったりします。黄色以外にも白色や赤色、黒色など様々な色に惹かれますが、色によって集まり具合や集まる種類が違うようです。この性質を利用したイエローパン・トラップは、昆虫の生息調査に用いられる調査方法ですが、仲間によっては全く入らない種類もいるため、実際には他のトラップ(わな)と併用して使われるようです。