ページの先頭

第6巻【近世・近代・現代編】- 第4章:教育・学校

第4節:社会教育

これから秋本番!

読書は人間形成・文化の芽

 読書は、個人的には人間形成、地域的には文化の芽の育成に役立ちます。
 町では昨年から、町民文化大学で「読書講座」が設けられ、少しずつ活動的になろうとしています。また最近町立図書館が誕生し、町はその充実に力を入れ始めました。一方、個人で図書館へ二〇〇冊、五〇〇冊とまとめて蔵書を寄贈する人も多く、かくれた読書家もかなり多いことが分かります。
 こんな読書状況の中で、いくつかの読書グループのうち、「夕月読書会」について、安藤会長から紹介してもらうことにしました。


読書会「夕月」について

 移動図書館利用の読書会、「夕月」が発足して、今年九月でまる五年経過しました。
 五十六年(1981)の五月のことです。「嵐山の味ってなんだろう」。私たちの手で町の味を作ってみようということで話が進み、栄養士の山田美子さんを中心に「味の会」という料理の会が誕生しました。希望者は気軽にどうぞと募集したところ、五十名余りの会員ができました。その後、毎月一回の例会を重ね、身近な人たちとのふれあいを広げる場として、楽しい料理講習会が運営されてまいりました。
 それから二年余り経過したころ、味の会会員の中から、これだけおおぜいのメンバーが集まっているのだから、何かほかの勉強もしたいねという声が出て、いろいろ話し合った結果、十一名による読書グループ「夕月」が誕生したのです。
 この読書会では、この読書会では、いろいろな本が借りられ、返却日に期限がありますので、なんとか時間をみつけて期限までには読んでいます。
 皆さんと楽しく、また喜んでもらえる学習の場となっていただければと願い、二か月に一冊というテンポでやってまいりました。して言えば、基礎固めに時間をかけた学習期間だったように思います。
 現在の会員も、発足当時の約二倍の二十名に増えました。私たちの読んだ本の内容は、やはり女性を中心にしたもの、自叙伝等さまざまでした。
 自分たちの生活と共通するようなものもあれば、まったく逆な想像を絶する夢の世界へとひきこまれそうな本を読んでいるうちに、作者は何を思い、何を訴えようとしているのかと、活字を追うごとに頭の中で未知の世界を想像しながら、夜長を過ごしたこともありました。
 そうして返却日には、話し合いが行われるわけですが、会員の過半数が務めをしているので、夜でないともてません。本が配布されるとき、いっしょに連絡票と返却票が渡され、次回の当番の人の名前が記され、当番に当たった人は、当日は早く行き準備します。欠席の人は、前もって返却票に感想文または感動した箇所の抜粋を書いて提出していただきます。ですから、当人は欠席でも返却票が提出されるので、全員出席の話し合いとなるわけです。
 話し合いは、全体から自由に感想を述べ合います。人それぞれに感じ方、受けとめ方が違うので、とても楽しい話し合いが。できます。さらに本の趣旨とは無関係に、日常的な話題やら空想的な立場で話が飛び交い、一段と楽しいひとときが過ごせます。
 話し合いの中から自分を見つめ直す場として、また自らを表現するという行為を通して、前向きの人生を生き抜くための最高の勉強会ができると共に、いまでは発足当時に比べると、一人一人の読書に対する熱意と進歩がはっきりとうかがわれます。
 私たち婦人と社会のかかわり合いは、勤め人主婦という立場や役目を考えるだけでも、切っても切れないいろいろな学習課題があり問題が起こってくるものです。
 そんなことに適切な対応ができるには、個々の認識と行動の努力が大切であり、皆様と同じ場をもつことによって、悩みや問題をいっしょに考えるきっかけとなりうるならば、もっと多くの人たちに呼びかけて、本のすばらしさ、ありがたさを知っていただきたいと願っている昨今です。
 これからの課題として、読んだ本の舞台を歩く、いわゆる文学散歩・演劇鑑賞などをして、さらに違った角度から視野を広げ、心を深め、また他のサークルとも交流しながら、豊富な知識を身につけていきたいと思っております。 (会長 安藤たつ子) 

『嵐山町報道』366号 1988年(昭和63)9月15日
このページの先頭へ ▲