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嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】

COLUMN

4.コラム:県内の百万遍

県内の百万遍

 埼玉県内には百万遍の数珠を使った行事が非常に数多くみられます。行事が行われるのは主に春から夏にかけてで、その目的は疫病よけです。百万遍の数珠を使った行事でも、行事の名称は「春祈祷」とか「夏祈祷」とか、数珠を回す時唱える「ナンマイダ」(「南無阿弥陀仏」からきている)という言葉が行事名になっていたりします。行事の分布は全県的にみられますが、特に埼玉県東南部に多く見られます。この地域の百万遍は、行事を行う集落の一軒一軒で数珠を回して、疫病よけをします。数珠は回すだけでなく、もむといい、綱引きのように引っ張り合うのも特徴です。子供たちがこの行事を担ったりすることもあります。最後には集落境で数珠をもみ、境にある堀や川に飛込んで厄を流したりします。

埼玉の百万遍マップ

回り念仏|写真 都幾川村(現 ときがわ町)。
雲河原、不動堂で3月最終日曜に行われ、回り念仏といい数珠回しをします。
(写真提供:大久根茂氏)

お念仏|写真 児玉町(現 本庄市児玉町)大駄。
お念仏といい、7月1日から3日まで寺で数珠回しをします。
(写真提供:岡本一雄氏)

百万遍|写真 鴻巣市郷地小宮、百万遍は7月8日に行なわれ、観音堂では大人が数珠を回し、子どもたちが一軒一軒回って数珠を回します。
(写真提供:県立民俗文化センター)

ドンガン祭り|写真 加須市大越馬場、4月12日に近い日曜日に行なわれる行事で、ドンガン祭りといわれ、剣と長刀と数珠を持って、1軒1軒回り、「ナイター、ナイター」といいながら、数珠を回します。(写真提供:県立民俗文化センター)

お獅子様|写真 宮代町西原、お獅子様という7月21日に近い日曜日に行われる行事で、獅子頭と数珠を持って一軒一軒回って歩きます。
(写真提供:板垣時夫氏)

川口市安行原の百万遍|写真 川口市安行原。 5月24日、稲藁で10メートル位の蛇(へび)を作り、欅(けやき)の木にかけ、そこで大人たちが数珠をもみ合います。
(写真提供:三田村佳子氏)