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嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】

第1節:年神を迎える 〜正月の準備〜

洗ひたる臼のしたたり梅ひらく 野崎ゆり香

 麦蒔きが済みました。様々な農作業がすべて終わりました。家々では、新年の準備に入ります。
 一家総出の煤払いで、一年間の汚れを掃き清め、年神棚を作り、注連縄(しめなわ)や門松を飾って、年神様をお迎えする支度(したく)を整えます。お供えの餅つきも大事な仕事です。年の瀬は、あわただしく過ぎていきます。
 大晦日の晩には、お祓(はら)いをします。この一年の無事を感謝し、来年の幸せを祈ります。
 年越しのごちそうを食べれば、さあ、いよいよお正月です。

1.煤払い(すすはらい)|家の行事

煤払い|写真1
 十二月、年の押し迫らないうちに家中を煤払いします。今でいう大掃除です。古くは十三日と日を定めていました。神棚も降ろし、屋根裏から縁の下まで竹箒(たけぼうき)できれいにします。竹箒は家の裏からとってきた二本の真竹を先端の葉を残して束ねて作りましたが、このような光景はすっかり見られなくなりました。昭和三十年代までは、ご飯などを煮炊きするために囲炉裏(いろり)や竈(かまど)で薪(まき)を燃やしたので、家の中は煤だらけでした。一年の間にたまった煤をきれいに払うのですから、家族総出の大仕事です。晩はオゴリ(御馳走)でした。ふだんは口にできない白米のご飯やけんちん汁を作り、きれいにした神棚に供え、自分たちも食べたり、お酒を飲んだりしました。

煤払い|写真2 竹箒で家の中の煤を払います。軒下のクモの巣などもきれいに払います。
写真は、鎌形の簾藤惣次郎さんのお宅で再現したときのもの。