嵐山町web博物誌・第4巻「嵐山町の原始・古代」
1.環状集落
環状集落概念図
260軒もの住居は、よく見ると10数カ所のブロックに分かれています。全国の大きなムラでも共通する傾向です。この小区域が、一家族あるいは一同族の「敷地」ではないかという研究も進められています。
そして繁栄の中期へ
約5000年前頃から、縄文時代は研究上「中期」と区分している最盛期に入ります。地球の温暖化は峠を越えて少し落ち着き、ドングリの森の暮らしにとって最適な気候となりました。
中期の特色のひとつは、大規模な集落が出現したことです。縄文時代前期に生まれた環状集落は、最初は数軒だった家が、中期になると数10軒にまで増えます。最大の理由は、人口の増加でしょう。ドングリの森は、大所帯の食料が十分に賄えるほど、安定した、懐の深いものに成長していました。そして人々は、大人数で暮していく術を身につけていったのかもしれません。つまり、単なる数家族の集団ではなく、社会が形づくられていったのです。
- 岩手県西田遺跡（岩手県埋蔵文化財センター提供）
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発掘調査により遺構群が整然と配置された中期の環状集落が検出されました。中央広場に土坑群、その周囲に掘立柱建物群、さらにそれらを囲む住居群と貯蔵穴群が配置されていました。
- 比企郡中期遺跡分布図
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川に沿って多数の遺跡が分布し、川の交流点に行司免遺跡のような地域の拠点となる大規模遺跡があります。
行司免遺跡南西側調査区航空写真（北から）
1983〜86年に、農地改良事業に伴う発掘調査が行われました。北に都幾川の低地を望み、南東へ緩やかに傾斜する舌状の河岸段丘上にあります。
行司免遺跡
嵐山町大蔵地区で発見された行司免遺跡は、埼玉県を代表する縄文時代中期の大集落の1つです。広範囲の発掘調査の結果、ムラの全貌が明らかとなりました。
ムラは、径約100メートルの広場を持つ典型的な環状集落です。家は10数軒から多いときで20軒ほど。人口は50から100人くらいと考えられます。ムラは数100年にわたって、途切れることなく続きました。発掘調査で260軒以上の住居跡が、びっしりと重なり合って発見されたのは、その数100年の間に家の新築や建て替えが何度も行われたことを示しています。
- 行司免遺跡住居跡群
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