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第6巻【近世・近代・現代編】- 第7章:文芸・学術・スポーツ

第1節:俳句・短歌

俳句

八日会句会報

 二月二十八日月例会は俳句練習会開催、各会員の代表作は左記のようである。
若き芽の水仙のごと八日会    田島菊
黒々と野焼の畦の続きけり    中村常男
津波風野火の煙が高くなり    千野久夫
顔そりて冷たき風や春浅し    千野良之
野火が呼ぶ風微かなり小田暮るる 吉場雅美
草焼を立つて見ている頬かむり  持田市三
俵装競技会春雪の降り続く    強瀬長重
春浅し巨木の木肌落ちて寂    安藤一鳳

『菅谷村報道』68号 1956年(昭和31)3月20日

八日会歳末句会

 十二月二十五日聖誕日を祝して句会を開催した。成績は次の通りであった。
米積んで歳末の日尚惜む     中村常男
記憶なく暮れ行く年やあわただし 久保寅太郎
歳末の積る反省八日会      吉場雅美
歳末や追わるる如く麦を踏む   小林辰見
農協の混み合う村の師走かな   千野良之
忙しげにバイクが走る年の暮   千野久夫
大きな夢翌年廻し年の暮     田島菊
被服店売出し必死年の暮     持田市三
来年の豊作誓う年の暮      永島倍久
歳晩の大鮭梁にぶらさがる    安藤専一

『菅谷村報道』86号 1958年(昭和33)1月25日

八日会句会報

 一月二十八日夜麦の土入竹馬の兼題で句会を開き農民俳句の相互研究を催した。一人一句を公表して大方の御高批にあずかりたい。
土入れや乾いた土の音軽し    安藤叡(あきら)
竹馬や乗つて見せ又手もとりて  久保寅太郎
ふり向けば土入れする背に星一つ 田島菊
土入や早や陽炎は野に燃ゆる   大木久保
参宮の楽しみこめて土入るる   千野久夫
土入れし麦しんかんと陽を吸える 小林辰見
竹馬の後追うて行く茜空     中村常男
名残傷竹馬戦や親心       吉場雅美
せがまれて作る竹馬子は囲む   杉田朝光
下肥の麦に土入る作男      杉田和儀
竹馬の高きを誇る子が大将    安藤専一

『菅谷村報道』87号 1958年(昭和33)2月25日

八日会句報 

二月一日夜、七郷小学校で練習句会を開く。
当日の成績は次のようであつた。
雪催い麦の追肥を急ぎけり    千野良之
月冴えて火の用心の声寒し    大塚旦次
早朝のほのかに温き寒卵子    安藤叡
遠き峰皆それぞれの雪衣     大久保義勝
連山に雪思わせる小雨降る    大塚祐吉
麦踏や原子時代を外にして    藤野守一
日向ぼこ老婆の膝に猫寝居    松本茂
トランプにこたつ櫓の夜も更ける 持田市三
奴凧梢に残り子ら帰える     中村常男
雪掻いて起す黒土鍬初め     安藤専一
          (安藤専一氏提借)

『菅谷村報道』97号 1959年(昭和34)2月15日
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