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第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光

第3節:農耕・園芸

経済不況の中で農家小組合が結成される

 「比企郡農家組合一覧」(1931年(昭和6)4月現在)には、比企郡下の農家組合の町村名、設立年月、組合名、組合長名が掲載されている。
 この名簿にある町村別の農家組合数は次のとおりである。

現・嵐山町=菅谷村7、七郷村20
現・東松山市=松山町15、大岡村14、唐子村6、高坂村16、野本村14
現・滑川町=福田村8、宮前村13
現・小川町=小川町8、八和田村19、大河村5、竹沢村6
現・ときがわ町=(旧都幾川村)明覚村4、平村8、(旧玉川村)玉川村1
現・鳩山町=亀井村8、今宿村1
現・川島町=小見野村4、中山村4、八ツ保村19、伊草村11、三保谷村12、出丸村0
現・吉見町=東吉見村2、南吉見村0、西吉見村5、北吉見村6

 農家組合(農事組合)は、明治末期から農家の親睦、修養、農事改良を目的に結成されていたが、第一次世界大戦後の慢性的経済不況の中で様々な設置奨励策が実施された。埼玉県では、1921年(大正10)3月「農事組合奨励規定」を定め、補助金を増額して設置促進を図っている。
 農家組合は組合員の農業生産、生活上の困難の克服、改善等多用な目的を持った「一般的農家組合」と養蚕実行組合、養鶏組合などの「事業別農家組合」とに大別されるが、「農家小組合」と総称される。1925年(大正14)、全国で約11万あった農家小組合は、3年後には7万5000増えて18万5000に達した。農事実行組合は農家小組合が法人化されたものである。
 「比企郡農家組合一覧」に掲載されている236組合を設立年別に集計すると以下になる。

 1915年(大正4)  3
 1919年(大正8)  1
 1921年(大正10) 49
 1922年(大正11)  7
 1923年(大正12) 28
 1924年(大正13)  2
 1925年(大正14) 11
 1926年(大正15)  8
 1927年(昭和2)  32
 1928年(昭和3)  19
 1929年(昭和4)  6
 1930年(昭和5)  24
 1931年(昭和6)  36

 1915年(大正4)に結成されたのは、松山町の簗本農家組合、唐子村の神戸(ごうど)農家組合、玉川村の根際(ねぎわ)農家組合である。1931年(昭和6)4月現在のはずだが、同年5月、6月、9月に結成された農家組合が4つある。誤植なのか詳細は不明であるが、1931年設立組合数には加えてある。

旧菅谷村・七郷村農家組合・組合員数・組合長一覧 1931年4月現在

 旧菅谷村

千手堂農家組合 1923年(大正12)4月 42人 高橋金次郎
大蔵農家組合  1919年(大正8)4月 28人 山下卯之吉
植木山農家組合 1921(大正10)4月 22人 杉田鉄三郎
菅谷農家組合  1927年(昭和2)2月 37人 笠原傳吉
大上農家組合  1929年(昭和4)2月 24人 儘田雪光
昭和農家組合  1929年(昭和4)4月 23人 内田喜三郎
(鎌形)    1931年(昭和6)3月 24人 内田寛太郎

 旧七郷村

第一農家組合  1923年(大正12)4月 17人 田島啓助
第二農家組合  1923年(大正12)4月 20人 安藤儀重
第三農家組合  1923年(大正12)4月 19人 飯島徳治
第四農家組合  1922年(大正11)4月 25人 小林富治
第五農家組合  1922年(大正11)4月 15人 小林栄祐
第六農家組合  1922年(大正11)4月 18人 藤野菊次郎
第七農家組合  1922年(大正11)4月 23人 馬場芳治
第八農家組合  1922年(大正11)4月 26人 市川武市
第九農家組合  1922年(大正11)4月 19人 青木仲次郎
第十農家組合  1922年(大正11)4月 19人 馬場覚嗣
第十一農家組合 1922年(大正11)4月 34人 小林耕一
第十二農家組合 1922年(大正11)4月 22人 阿部寶作
第十三農家組合 1922年(大正11)4月 22人 大澤賢司
第十四農家組合 1922年(大正11)4月 20人 金子保蔵
第十五農家組合 1922年(大正11)4月 13人 杉田政之助
第十六農家組合 1922年(大正11)4月 30人 中村善三
第十七農家組合 1922年(大正11)4月 20人 内田武一
第十八農家組合 1926年(大正15)4月 22人 青木茂三郎
第十九農家組合 1926年(大正15)4月 15人 千野久良
第二十農家組合 1927年(昭和2)4月 22人 松本繁太郎

「比企郡農家組合一覧」1931年(昭和6)4月1日現在

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